はじめに
転職を考え始めたあとに、次に迷いやすいのが、
「今の不満は現職で解決できるのか。それとも、転職活動を始めたほうがいいのか」
ということだと思います。
20代のエンジニアは、まだキャリアの途中です。
今の会社に不満があっても、すぐに辞めるのが正解とは限りません。
一方で、今の環境に残り続けることで、経験が偏ったり、将来の選択肢が狭くなったりすることもあります。
だからこそ大事なのは、気持ちだけで結論を出さないことです。
まず現職で改善できる余地があるのかを見る。
それでも難しいなら、残り続けるデメリットと転職で得られるものを比べる。
この順番で考えると、整理しやすいと思います。
この記事では、20代エンジニアが今の会社に残るか、転職活動を始めるか迷ったときに、どんな順番で判断すると整理しやすいかを実体験ベースでまとめます。
結論|まずは現職で動けるかを見る。それでも難しいなら転職活動を考えればいい
先に結論を書くと、20代エンジニアが転職活動を始めるべきか迷ったときは、いきなり退職を決める必要はないと思います。
まずは今の会社で改善できる余地があるかを見てみるのがおすすめです。
ここで見たいのは、単に不満があるかどうかではありません。
- 今の環境で状況が変わる見込みがあるか
- 自分で動ける余地があるか
- 数か月単位で改善が期待できるか
- そもそも会社として解決できる問題なのか
このあたりです。
もし状況が変わる見込みがあるなら、すぐに辞める必要はないかもしれません。
一方で、改善の余地が薄い、自分の努力だけではどうにもならない、そもそもそこまでして残りたい環境でもない。
そう感じるなら、転職活動を考える余地は十分あると思います。
大事なのは、現職でできることを見たうえで、それでも残る意味が薄いなら転職活動を考えることです。
なぜ迷いやすいのか|20代エンジニアの判断が難しい理由
この判断が難しいのは、今の不満と将来への不安が混ざりやすいからだと思います。
たとえば、今の会社に明確な不満があるわけではない。
でも、成長できている実感が薄い。
今の環境にも良い面はある。
ただ、このまま何年も続けたいとは言い切れない。
こういう状態だと、「辞めるべき理由」と「なんとなく不安なだけ」が混ざります。
しかもエンジニアは、会社によって積める経験がかなり違います。
どんな技術に触れられるか。
どの工程まで任せてもらえるか。
学べる人がいるか。
この違いで、その後の選択肢はかなり変わると思います。
だからこそ、「今つらいかどうか」だけではなく、今の会社に残る意味と、残り続けることで失うものの両方を見る必要があります。
まずやること|現職で動きつつ、転職活動も小さく始める
転職活動を始めるべきか迷ったとき、最初から「転職するか、しないか」の二択で考えないほうがいいと思います。
現職で改善できる余地があるかを見ながら、並行して転職活動も小さく始めてみると、感情ではなく材料で判断しやすくなります。
上司に相談して、現職で改善できるかを見る
最初にやることのひとつは、上司への相談です。
ただ、これは上司との関係性にもよると思います。
すでに「この上司に相談してもどうにもならない」「そもそも上司の権限では動かせない」と判断しているなら、無理に相談しないのもひとつの手です。
一方で、ある程度信頼している上司がいるなら、まずは相談してみる価値はあります。
相談するときは、できるだけ率直に伝えたほうが動いてもらいやすいと思います。
実際に伝えたのは、たとえば次のようなことです。
- 給与や評価と役割が見合っていない
- ロールモデルになる人がいない
- 周囲のレベルが低く、学びにくい
- 精神的に厳しく、モチベーションも落ちている
そのうえで、今のままでは残り続けるのは難しい、というところまで伝えました。
ただ、ここで大事なのは、上司が親身かどうかだけで判断しないことです。
相談した上司はかなり親身で、改善策も一緒に考えてくれましたし、定期的に面談の時間も取ってくれていました。
それでも最終的には解消しませんでした。
理由は、感じていた問題が、上司個人では変えられない、組織として長く放置されてきた問題だったからです。
つまり、上司が親身であることと、実際に解決できることは別でした。
だからこそ見るべきなのは、「話を聞いてくれたか」ではなく、「2〜3か月で何か変わりそうか」だと思います。
自分で変えられることも試してみる
上司への相談とあわせて、自分で変えられることがあるかも見ておきたいです。
たとえば、やりたい業務を自分から伝える。
設計やレビューに関わる機会を取りにいく。
小さくても改善提案を出す。
次に必要なスキルを学び始める。
こうした行動で状況が少し変わることはあります。
ただ、会社全体がレガシーな技術に寄っている、上流工程に入れる余地がない、学べる人がいない、といった問題は、個人の工夫だけでは変えきれないことが多いです。
だからこそ、自分で動けることを試しつつ、それでも難しいなら転職で環境を変えることも考えてよいと思います。
そしてもうひとつ大事なのは、自分で努力してまで残りたい環境かを見ることです。
転職活動は求人を見るくらいからでいい
転職活動を始めるべきか迷っているとき、転職活動という言葉だけで身構えてしまう人も多いと思います。
でも、最初の一歩はそこまで大きくなくていいと思います。
最小ステップとしておすすめなのは、まず求人を見始めることです。
まだサイトに登録しなくてもいいですし、どんな求人があるのかを知るだけでも十分だと思います。
今の自分の経験で、どんな案件やポジションがあるのか。
求められているスキルは何か。
今の会社の外に、どういう選択肢があるのか。
それを見るだけでも、自分の立ち位置はかなり分かりやすくなります。
ただ、正直に言うと、求人だけでは分からないことも多いです。
分かるのは、給与や福利厚生、募集要項など、ある程度決まりきった情報が中心です。
実際の違いは、口コミサイトや面接の中で見えてくることも多いと感じました。
口コミサイトには不満が書き込まれやすいので、マイナスの意見も多いです。
ただ、そのマイナス意見を見ても、「今よりは全然マシではないか」と感じることもありました。
一方で、口コミはそのまま全部受け入れればいいわけでもありません。
同じ会社でも部署や地域によってかなり差がありますし、古い情報が残っていることもあります。
見るなら、ここ数年の情報を中心にしたほうが参考にしやすいと思います。
小さく始めると、現職も冷静に見やすくなる
転職活動を小さく始めると、気持ちにも変化が出てくることがあります。
ひとつは、視点が将来に向くことです。
今の不満だけを見るのではなく、これからどうしていこうかと前向きに考えやすくなります。
もうひとつは、転職という選択肢が現実的になることで、
逆に「では現職で今できることは何か」という視点も持てることです。
転職するか残るかの二択で固まるより、一度外の選択肢を見るほうが、今の環境とも冷静に向き合いやすくなると思います。
残るデメリット|現職に居続けることで失うものもある
転職活動を始めるか迷うとき、辞めるデメリットばかり考えがちです。
でも実際には、残り続けることにもデメリットがあります。
レガシーな言語や下流工程だけに閉じるリスク
たとえば、古い言語や古い開発環境ばかりに触れている。
保守や運用が中心で、開発経験が増えない。
下流工程ばかりで止まっている。
上流工程に進める見込みが薄い。
周囲に学べる人がいない。
こうした状態が続いているなら、残り続けるリスクは一定以上あると思います。
危機感を一番強く持ったのもこの部分でした。
レガシーな言語が中心で、上流工程にはなかなか携われない。
周囲にも尊敬できるロールモデルがいない。
このまま数年過ごしたら、ここ以外で通用しにくい人材になってしまうのではないか。
そういう危機感がありました。
年齢が上がるほど、求められる経験は増えていく
20代のうちはポテンシャルを見てもらいやすい場面もあります。
でも年齢が上がるにつれて、要件定義、基本設計、顧客調整、リーダー経験、マネジメント経験など、より具体的な経験が求められるようになります。
そのときに、現職でそうした経験を積める見込みがほとんどないなら、残ること自体が将来の不利につながる可能性があります。
組織そのものに停滞感があるなら注意したほうがいい
私が危機感を持った例としては、部長の方針がかなり売上重視に見えたときでした。
現場には不満がたまっている。無理のある働き方をしている人もいる。
それでも、そうした声より先に、売上や会社からどう評価されるかが優先されているように感じたのです。
こういう状況は、現場にいる側からするとかなりしんどいと思います。
頑張っている人ほど負荷を抱えやすいのに、その大変さは軽く見られやすい。
一方で、上だけが評価されていく。そのバランスの悪さに、納得できなくなることもあるはずです。
もし今、自分ひとりが頑張っても組織全体として良くなっていくイメージが持てないなら、その感覚は一度立ち止まって考えてみてもいいものだと思います。
残る意味がある会社とは|見ておきたいポイント
逆に、今の会社に残る意味があるのは、次のような条件がある場合だと思います。
- 上流工程に携われている
- クラウドやAIなど今後主流になりそうな技術に関われている
- 自分のキャリアを見据えて案件や役割を調整してくれる
- 挑戦を後押ししてくれる環境がある
- 会社に安定性があり、社員への還元もある
特に、社員への還元姿勢は意外と大事です。
たとえば、賃上げへの姿勢や、既存社員を大事にしているかどうかには会社の考え方が出やすいと思います。
こうしたことは社内にいると分かりにくい部分もあります。
だからこそ、自分の会社だけを基準にするのではなく、求人や口コミサイトを見て客観的に比較してみるのがおすすめです。
これからのキャリア|AI時代を考えると上流工程やレビュー力も重要になる
残るか転職活動を始めるかを考えるときは、今だけでなく、この先どんな力が求められるかも見ておきたいです。
詳細設計から単体テストくらいまでは、数年後にはAIでかなり担保できる時代が来るのではないかと感じています。
実際に、Claude Codeのようなツールを使って、AIだけでコーディングやテストを完了させた事例も聞くようになりました。
だからといって、開発スキルが不要になるとは思いません。
むしろ、AIのアウトプットをレビューするためには、一定以上の開発スキルや設計理解は必要だと思います。
ただ、そのうえで今後は、要件をどう整理するか、仕様にどう落とし込むか、AIにどう伝えるか、出てきた成果物をどうレビューするか、顧客とどう調整するか、といった、AIを使う側、前に進める側の力がより重要になっていくと思います。
もし今の環境が、いつまでも作業者として閉じやすい環境なら、その点でも一度キャリアを見直す価値はあると思います。
こんな状態なら転職活動を考えていい|動き始めてもよいサイン
次のような状態なら、転職活動を前向きに考える余地があると思います。
- 上司に相談しても改善の見込みが薄い
- 自分の努力で変えられる範囲を超えている
- 今の環境にいることで経験が偏っていく
- 学べる環境がなく、積み上がる感覚もない
- そこまでして残りたい会社ではない
こうした状態が重なっているなら、今の環境に残り続けるべきか、一度立ち止まって考えてみてもいいと思います。
逆に、すぐ辞めなくてもいいケース
一方で、今すぐ辞めないほうがいいケースもあります。
- 近いうちに上流工程に関われそう
- リーダー経験を積めそう
- 新しい技術や役割に触れられそう
- 学べる人がいる
- 今の不満が改善される見込みがある
また、今の会社で途中のプロジェクトがあるなら、それをひとつやり切ってから動いたほうがいいこともあります。
転職活動では、今までのプロジェクトで何を成してきたかを聞かれることがあるからです。
すぐに辞めるよりも、今の環境でひとつでも語れる経験を作ってから動いたほうが、結果的に転職しやすくなることもあります。
さいごに
20代エンジニアが転職活動を始めるべきか迷ったとき、最初から勢いで辞める必要はないと思います。
まずは、今の不満が現職で改善できるのかを見てみる。
上司に相談するのもひとつですし、自分で動けることを試してみるのもありです。
あわせて、求人や口コミサイトを見ながら、今の環境を外と比べてみると判断しやすくなります。
そのうえで、今の会社に残る意味があるのか、このまま続けた先にどんな経験が残るのかを考えてみる。
もし、環境そのものが変わりにくい、学べることが限られている、このままでは経験が偏っていく。
そう感じるなら、転職活動を始める余地は十分あります。
答えは、「今すぐ辞める」か「このままずっと残る」かの二択ではありません。
今の会社でできることと、外にある選択肢の両方を見たうえで判断する。
その進め方が、いちばん納得感のある形になりやすいと思います。
もし今迷っているなら、まずは
「現職で変えられることはあるか」
「このまま残って得られる経験は何か」
「外にはどんな選択肢があるか」
この3つを整理するところから始めてみてください。
この記事が、転職しようか迷っている方の悩みを整理し、次の一歩を考えるきっかけになればうれしいです。

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